労働判例・裁判例紹介 弁護士西川暢春

弁護士西川暢春がやっている労働判例postの補足ブログです。Xでは140文字以上は予約投稿できないため、長いものはこのブログで書いております。

適応障害による休職者の復職可否判断

大阪地裁R6.5.21
会社が適応障害による休職者について復職を認めず、休職期間満了により退職扱いとした

→主治医は、異動後の職場環境調整のうえであれば復職可能であるとの診断書を提出している。また、リワークプログラムの評価シートの平均点も復職申請に進むことができる基準を上回っている。そして、リワークを平日はほぼ毎日出席しており、カルテ等で精神状態が就労に耐えられないような状況にあることをうかがわせる具体的な記載は見当たらない。

 これに対し、会社の顧問医は、本人と面談のうえ、「内省に乏しく、休職になった原因に関しても身体の状態に対してのみで、精神的ストレスに関しては全く振り返りはない状態である。」などとして、復職不可とする意見書を会社に提出している。しかし、従業員から会社に対して訴訟が提起された後、顧問医は会社から意見書の提出を求められても応じておらず、そもそも顧問医が従業員の精神状態について真に就労不能という認識であったかどうか疑問がある。会社の退職扱いは無効と判断