労働判例・裁判例紹介 弁護士西川暢春

弁護士西川暢春がやっている労働判例postの補足ブログです。Xでは140文字以上は予約投稿できないため、長いものはこのブログで書いております。

2024-03-29から1日間の記事一覧

1年以上服薬せずに日常生活を送っていた休職者の復職可否判断

名古屋地裁R3.8.23躁うつ病(双極性障害)で休職していた休職者が復職を申し出たが、会社は認めず、休職期間満了により解雇した→休職者は復職を申し出た当時、1年以上服薬せずに日常生活を送り、生活リズムや気分が安定していたことは認められる。しかし、双…

「復職可能であり、3か月間は短時間勤務及び軽度業務に限る配慮が必要」と主治医が診断した事案についての復職可否判断

長崎地裁R1.12.3統合失調症の休職者の復職について主治医は「復職可能であり、3か月間は短時間勤務及び軽度業務に限る配慮が必要」と診断→一方で、その後の照会に対して、主治医は、『復職可能性について客観視できるデータがないため、就労がかなわない場合…

入社後約4年間にわたり「残業手当」の名目で支給していた賃金が時間外労働の対価とは言えないとされた例

札幌地裁R5.3.31運送会社が運転手の売上の10%を「残業手当」の名目で支給。入社後約4年間にわたりこの支給を受けていた運転手が残業代請求訴訟を提起 →雇用契約書には残業手当の記載がなく、賃金規程には労働基準法上の計算式に基づく割増賃金の規定がある…

日常的な強い叱責がパワハラにはあたらないが安全配慮義務違反ありとされた事例

徳島地裁H30.7.9銀行職員が自殺し、遺族はパワハラ自殺と主張→赴任先で日常的に強い叱責を受けていたが職員のミスを指摘するものであり指導の範囲を逸脱しない。ただし、上司はこれらの状況を十分認識しており、職員が赴任後継続的に異動を希望し続けていた…