労働判例・裁判例紹介 弁護士西川暢春

弁護士西川暢春がやっている労働判例postの補足ブログです。Xでは140文字以上は予約投稿できないため、長いものはこのブログで書いております。

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

まじめな職員が業務を期限までに終えられないことを苦に自殺したことについて、積極的な業務指導や質問しやすい環境の構築を怠った義務違反があったとして賠償を命じた裁判例

新潟地裁R4.11.24勤続17年の市職員が期限までに業務を終えられないことを苦に自殺→上司は自分が部下に強く当たっており職場内が会話がなく質問しにくい環境にあることや、自殺した職員が物静かで悩みを他に相談しない性格であることを認識していたのだから、…

外資系企業における整理解雇について判断した事例

東京地裁R3.12.13 外資系金融機関が月給350万円の本部長を整理解雇。会社は、このような解雇が無効なら国際企業の日本撤退を招くと主張 →国際企業の人事労務管理と整合する合理的な労働契約や就業規則を整備し、解雇の客観的な資料を保存することで対処可能…

タクシー会社で一定時間を超える駐停車時間は休憩時間と扱う旨を就業規則で定めることができるか?

福岡地裁H25.9.19就業規則でタクシー運転手の駐停車が5分を超える場合は休憩時間として扱う旨を定めることはできる?→タクシー運転手の休憩時間は、場所、時間帯や気候等の諸状況により乗客獲得見込みが異なるため、一定程度運転手の判断に委ねざるを得ず、…

有期雇用の派遣社員の雇止めが有効とされた事案

東京地裁R4.11.18派遣会社が有期雇用の派遣社員の2回目の契約更新に応じず雇止め。派遣社員が雇止めの無効を主張して提訴→通算雇用期間は9か月にすぎず、雇用契約の更新の判断基準は「派遣先が更新を希望しない場合かつ労働者の希望する就業先がないとき」と…

配転命令を受けた従業員からの職種限定合意の主張が認められなかった事例

大阪地裁R5.3.31製造業で30年以上システム課で勤務していた従業員を工場検査課に配転。従業員は職種限定合意があり、配転は無効と主張→「システム課の職員募集(コンピュータ要員)」との求人広告に応募して採用されたとしても、これは最初の配属部署を記載…