労働判例・裁判例紹介 弁護士西川暢春

弁護士西川暢春がやっている労働判例postの補足ブログです。Xでは140文字以上は予約投稿できないため、長いものはこのブログで書いております。

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

特許事務所が入所時に従業員に提出させた競業避止義務の誓約の効力についての判断事例

大阪地裁H17.10.27特許事務所が入所者に「退職後2年間は、事務所の顧客にとって競合関係を構成する特許事務所・法律事務所に就職しない」とする誓約書を提出させた→一応、再就職禁止先が限定されているが、「事務所の顧客にとって競合関係を構成する」との文…

トラブルが絶えず、会社の信用を傷つける従業員に対して無給で出勤を禁止することができるか?

大阪地裁R5.3.24 パソコン販売会社に雇用され、家電量販店内で接客を担当する従業員が協力会社や家電量販店の従業員とのトラブルが絶えず、会社からは戒告処分を受け、量販店店長からは退店を命じられた。従業員は会社に対して職場復帰を求めたが、会社は認…

夏季休暇が「休日」なのか「休暇」なのか、が争点になった裁判例

東京地裁H30.7.18就業規則で土日祝と年末年始を所定休日と定めている事業者が、7月から9月の間に3日間の夏季休暇を付与。→裁判所は、これは「休暇」(労働契約上労働義務のある労働日について労働者が使用者から就労義務の免除を得た日)であって、労働者が…

給与担当者が情報を他の職員に漏らしたことに対する叱責がパワハラにあたるとされた事例

那覇地裁R5.6.27 専務から、社員の昇給、昇格の見直しについて事前に聴いていた給与事務担当者が、他の社員にこれを話した。専務は「あなたがなんで自分で判断するの。職員に話して、大馬鹿野郎じゃないの。大問題だよ。これこそ懲罰事項になるんだよ。給与…

産休からの復帰に際し、週5勤務から週1勤務に変更することを提案したことが適法とされた事案

宮崎地裁R5.7.12病院が、産休から復帰する女医に勤務日を週5から週1に減らすことを提案。女医はこれを出産後の女性を差別するものである等として損害賠償請求→女医は産休前から精神障害の影響で睡眠が十分に取れず、勤務開始時刻等に配慮が必要であった。病…

診断書提出後もマスク着用を指示し続けたのは違法か?

大阪地裁R5.5.22 日本郵政株式会社がコロナ禍に郵便局職員にマスクの着用を指示。「マスクによる低酸素脳症の疑い」とする診断書を提出した後も着用指示を継続 →業務中にマスクの着用を指示したことは、当時広く社会において認識されていた感染予防に関する…

私傷病休職からの復職可否の審査に1か月超を要した場合にこの期間を無給とすることが認められるか?

大阪地裁R5.5.22 精神疾患による休職者が、2月上旬に復職可能の診断書を提出して復職を申し出たのに会社が3月20日まで復職させなかったのは不当と主張。この期間中、就業できなかったのは、会社の責めに帰すべき事由によるとして、民法536条2項に基づき、期…