労働判例・裁判例紹介 弁護士西川暢春

弁護士西川暢春がやっている労働判例postの補足ブログです。Xでは140文字以上は予約投稿できないため、長いものはこのブログで書いております。

2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧

懲戒解雇を社内で公示したことが名誉毀損にあたる?

東京地裁R5.5.24 機密情報を漏洩した経理部長代理を懲戒解雇。 会社は、社内に「当社の従業員(管理職)1名が、当社の機密情報を含む社内データを私的利用で自宅に持ち帰り、また、特定の者の求めに応じて社内データを複数回漏洩する等の複数の重大な非違行…

過半数代表選出にあたり無投票者は有効投票にみなすと定めた場合の効力

松山地裁R5.12.20 大学が過半数代表者選出規程に、信任投票で投票しなかった選挙権者は有効投票による決定に委ねたとみなすと定めて周知。専門業務型裁量労働制の労使協定締結のための過半数代表候補者の信任投票で信任票124、不信任票0となっため、この候…

過半数代表選出にあたり無投票者は有効投票にみなすと定めた場合の効力

松山地裁R5.12.20 大学が過半数代表者選出規程に、信任投票で投票しなかった選挙権者は有効投票による決定に委ねたとみなすと定めて周知。専門業務型裁量労働制の労使協定締結のための過半数代表候補者の信任投票で信任票124、不信任票0となっため、この候…

懲戒処分前の弁明の機会付与に従業員側弁護士を同席させる義務はある?

東京地裁R5.5.24 懲戒解雇にあたり従業員に弁明の機会を付与。従業員側弁護士の同席は認めるが弁護士は従業員への助言のみとし、弁明そのものは従業員自身で行うことを求めた →代理人による弁明を禁じた点は懲戒手続の相当性に疑義を生じさせる事情であるが…

会計資料の外部提供は「会社の重大な機密を社外に漏らしたとき」の懲戒解雇事由にあたる?

東京地裁R5.5.24 経理担当者が、会社の元社長から、退任後も創業家から問い合わせがあるかもしれないから現状を把握しておきたいと言われて、元社長に会計資料を送信した →就業規則では「会社の重大な機密を社外に漏らしたとき」が懲戒解雇事由とされている…

長時間労働者に早く帰宅するように指導しても帰らない場合に会社がとるべき対応

大阪地裁H20.5.26 長時間労働のシステムエンジニアがうつ状態と診断されて会社の安全配慮義務違反を主張。会社は、①補充要員を確保するなどして本人の業務を軽減し、上司も帰宅できるときには帰宅するようにと指導・助言していた、②早く帰るよう指導しても交…

過半数代表選出において無投票者は有効投票による決定に委ねたものとみなすと定めた場合の効力

松山地裁R5.12.20 大学が過半数代表者選出規程に、信任投票で投票しなかった選挙権者は有効投票による決定に委ねたとみなすと定めて周知。専門業務型裁量労働制の労使協定締結のための過半数代表候補者の信任投票で信任票124、不信任票0となっため、この候…

「頭おかしいから。」「水商売やってた人間が。」などと部下を罵倒した支配人を普通解雇した事案

東京地裁R5.3.29支配人が、部下である年長の従業員に対し、他の従業員の前で「年長者で、キャリアも長くて、何でトップになっていないの?常識がない、あいつには任せられないと思われている。」「頭おかしいから。」「水商売やってた人間が。」などと罵倒。…

解雇後に会社経営を始めた従業員からのバックペイの請求について判断した事例

札幌地裁R5.4.7会社が営業所の所長を懲戒解雇した。その後、この元所長は自分で新会社を設立して代表取締役に就任。新会社の営業利益は赤字だが、売上高約7000万円、事業のために2000万円超の借入れをし、車両等をリースし、従業員2名を雇用している。この元…

重量8キロ以上あるコスチュームを着用してパレードに出演する業務に従事させることは安全配慮義務違反?

千葉地裁R5.12.26 テーマパークで重量8キロ以上あるコスチュームを着用してパレードに出演する業務に従事していた女性が胸郭出口症候群等を発症。会社の安全配慮義務違反を主張した→症状について業務起因性は認められるが、会社の安全配慮義務違反というため…

会社が60年以上続けていた従業員への年3000円の支給を中止したことが争われた事例

東京地裁R5.8.28 60年以上、従業員に毎年年3000円を「練成費」名目で支給してきた会社が支給を中止。これに対し、従業員が支給は労使慣行であると主張 →法的効力のある労使慣行が成立するためには、長期間の継続だけでなく、慣行が労使双方の規範意識によっ…

35年以上続いた定期昇給を中止できる?

東京地裁R5.10.30 学校法人が35年以上行なってきた4月の定期昇給を財政状況により中止。これに対し、職員らは定期昇給は労使慣行であると主張 →法的効力のある労使慣行が成立するためには、長期間の継続だけでなく、慣行が労使双方の規範意識によって支えら…

変形労働時間制採用のために就業規則に260ページにわたる別表を設けてシフトパターンを定めた事例

大阪地裁R4.2.221か月単位の変形労働時間制を採用のために、就業規則に、260ページにわたる別表を設けて始業時刻、終業時刻のパターンを定めた。そのうえで「社員の就業時間、各日の始業および終業時刻、所定労働時間並びに休憩時間については、別表による就…

役付手当を固定残業代と位置付ける賃金規程の効力について判示した事例

名古屋高裁R2.5.20賃金規程に「役付手当は、課長、所長代理以上を対象に、役付に付随する責任に対し手当するとともに、雇用契約書等において特定した時間分の所定休日労働に対する割増賃金として、月額5万円から30万円の範囲で毎月固定額を支給する」と定…