労働判例・裁判例紹介 弁護士西川暢春

弁護士西川暢春がやっている労働判例postの補足ブログです。Xでは140文字以上は予約投稿できないため、長いものはこのブログで書いております。

2024-07-01から1ヶ月間の記事一覧

業務命令に応じない従業員への対応事例

東京地裁R5.11.15 従業員が、会議への参加や業務の引き継ぎ等の業務命令に応じないため、まず、書面で業務命令を行った。しかし、それでも応じないので、書面による厳重注意をし、再度書面で同様の業務命令を出した。これにも応じないので、このままでは懲戒…

就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?

東京地裁R5.12.14 給与規程において、「業務内容の変更に伴い、その業務に相当しないと会社が判断した場合、昇給または降給することがある。」と定めている会社で、「俺の言うことと違うやり方をしたいなら俺より数字をあげてみろ」「お前ら、なめてんじゃね…

労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例

宮崎地裁R6.5.15平均月56時間の時間外労働をしていた係長が突然死して労災認定された→会社が係長に作成・提出させていた勤務表には、一律に始業午前9時、終業午後6時と記載されており、労働時間の実態を反映していない。会社はこのような勤務表の提出による…

クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?

宮崎地裁R6.5.15食品販売会社の係長が37歳で自宅で突然死→死亡前6か月の時間外労働は平均月56時間であり、相当程度の疲労を蓄積させるものであった。また、死亡の1週間前に県外出張が3回あり、長時間の往復移動・深夜帰宅があった。さらに、大口取引先に納品…

【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整備を解説(令和6年11月1日施行)

今年11月1日からフリーランス保護法が施行されます。この法律により、フリーランスとの取引がある会社は、契約書ひな形の見直しや報酬の支払いサイトの見直し、相談窓口の整備等が義務付けられます。 施行への準備に向けて、以下の通り、咲くやこの花法律事…

調剤薬局で患者の感情を害する言動をする薬剤師を解雇した事案

大阪地裁R6.2.22 調剤薬局が経験者の薬剤師を採用。履歴書には「前職でお客様対応が良く毎月売上げを伸ばし、おほめの言葉をいただきました」と書かれていた。 ところが、試用期間中に〔1〕老眼のために処方せんを読むのに時間を要することが判明し、〔2〕…

残業許可制について厳格な運用をしていたと認められた事例

東京地裁R3.6.30 就業規則で21時以降の残業は事前の許可を要し、許可のない場合は賃金を支払わない旨を定めた。しかし、従業員が21時以降も許可を受けずに残業していたとして残業代請求→①会社は残業の許可を得ていないにもかかわらず21時以降にタイムカード…