労働判例・裁判例紹介 弁護士西川暢春

弁護士西川暢春がやっている労働判例postの補足ブログです。Xでは140文字以上は予約投稿できないため、長いものはこのブログで書いております。

暴力を伴うパワハラについて被害者の復帰までに加害上司を配置転換する義務があったとされた事案

静岡地裁R3.3.5
1月27日に女性職員が上司から左上肢を3回こぶしで付く暴力を伴うパワハラを受け、2月5日に不安焦燥状態で1か月の自宅療養を要すると診断された。主治医からは加害上司と一緒に仕事をする状況での復職に消極的な見解が示された。また、女性職員も、加害上司を異動させるか、異動が決まるまで加害上司に有給休暇をとってほしい旨希望した。
→診断から1か月後の3月5日までには、加害上司を他部署に配属する等の人事配置を決定し、すみやかに実践すべき義務があった。4月1日付けで加害上司を他部署へ異動することも含めて対応を検討したものの、年度内に異動させる措置をとらず、3月6日に女性職員を加害上司と同じ部門に復帰させたことは安全配慮義務違反。