東京地裁H23.2.25
会社の異動内示に強い拒否反応を示して不安障害を発症して休職していた従業員について、休職期間満了直前に主治医が「復職可。但し、会社が信頼回復の努力をし、発病時の上司が係わる職場でないことが条件」と診断。一方、産業医は「本人は、病状の発端となった異動発令を不当と考え、会社に多岐にわたる要求をしている。現段階で、この本人、会社が対立する問題を保留としたまま職場復帰することは、症状増悪の可能性が極めて高い」と意見。会社は復職を認めず休職期間満了により退職扱いとした。
(裁判所の判断)会社と本人の信頼関係が失われた原因は、本人が会社の異動内示に問題は認められないのに強い拒否反応を示して、上司を犯罪者呼ばわりするなど激しい非難・攻撃を繰り返すなどしたことにある。そのことを踏まえたうえでなければ、本人の復職可能性を適切に判断することは困難。主治医はこれを知らずに判断したと思われる一方、産業医は概要を知ったうえで判断している。本人が休職満了日まで抗不安薬を服用していたこともあわせて考えると会社による退職扱いは有効と判断。