労働判例・裁判例紹介 弁護士西川暢春

弁護士西川暢春がやっている労働判例postの補足ブログです。Xでは140文字以上は予約投稿できないため、長いものはこのブログで書いております。

派遣会社が予定していた契約を得られなかったことを理由に行った内定取消の効力について判断した事例

大阪地裁H16.6.9
派遣会社が家電量販店からの業務委託契約を見込んで派遣する販売員を募集して内定を出し、研修した。しかし、その後予定の契約が得られず、内定を取り消した
→内定者との雇用契約において就業場所が本件店舗に限定されており、派遣会社は内定者に他の就業場所での就労を命じることもできない。派遣会社がこのように客観的に労働者を就労させることが不能となった労働契約を存続させる意思を有していたとは到底考えられないから、内定においては、このような事態に陥った場合の解約権が留保されていたものと推認するのが合理的。よって内定取消は有効と判断。
ただし、派遣会社は家電量販店との契約が得られず、就労が不能となる可能性の存在を告知して、それでも内定に応じるかどうかについて応募者に選択する機会を与えるべき信義則上の義務を負っており、この義務に違反したとして、派遣会社に対し、慰謝料20万円の支払命令。