労働判例・裁判例紹介 弁護士西川暢春

弁護士西川暢春がやっている労働判例postの補足ブログです。Xでは140文字以上は予約投稿できないため、長いものはこのブログで書いております。

入社後約4年間にわたり「残業手当」の名目で支給していた賃金が時間外労働の対価とは言えないとされた例

札幌地裁R5.3.31
運送会社が運転手の売上の10%を「残業手当」の名目で支給。入社後約4年間にわたりこの支給を受けていた運転手が残業代請求訴訟を提起

雇用契約書には残業手当の記載がなく、賃金規程には労働基準法上の計算式に基づく割増賃金の規定があるのみである。採用時にも、時間外労働等の対価として残業手当を支給することやその算定方法を、運転手に説明していてない。「残業手当」という名称で支給されていること等を考慮しても、時間外労働の対価であったとは認められず、「残業手当」は割増賃金計算時の基礎賃金に算入される