労働判例・裁判例紹介 弁護士西川暢春

弁護士西川暢春がやっている労働判例postの補足ブログです。Xでは140文字以上は予約投稿できないため、長いものはこのブログで書いております。

会社が60年以上続けていた従業員への年3000円の支給を中止したことが争われた事例

東京地裁R5.8.28

60年以上、従業員に毎年年3000円を「練成費」名目で支給してきた会社が支給を中止。これに対し、従業員が支給は労使慣行であると主張

→法的効力のある労使慣行が成立するためには、長期間の継続だけでなく、慣行が労使双方の規範意識によって支えられていることが必要。団体定期保険の1年満了給付金を従業員に還元する趣旨で支給が開始されており、給与のように支給を継続する必要がある金銭として支給が開始したものとは認められない。長年支給されてきたものの、支給方法、支給時期等は労使合意を経ずに使用者により一方的に変更されてきた経緯があり、従業員においても給与に類するものとしてうけとめていたとはうかがわれない。「練成費」の支給の慣行が労使双方の規範意識によって支えられていたとはいえず、法的効力のある労使慣行になっていたとはいえない。